ライダーがカウルに伏せた状態で、いかに空気がスムーズに流れるかを検証する風洞実験の様子。度重なる試行錯誤の結果、ご覧のような美しい空力フォルムが完成した。

Wind tunnel
東京大学名誉教授 東昭 先生

東京大学名誉教授
東昭(あずまあきら) 先生

東京大学名誉教授。航空機および生物の飛翔などあらゆる分野に精通するスペシャリスト。FF-5の開発に多大な影響を与えた。

テーマは“空力” 風洞実験による試行錯誤が先進フォルムを生んだ。

 FF-5の空力面における開発のメインステージとなったのは「水平回流式ゲッチンゲン型」と呼ばれる航空機開発用の巨大な風洞だった。“ウェイク・スタビライザー”という新発想の空力デバイスを採用するFF-5にとって、風洞実験は必要不可欠だった。
 実験の目的は大きく分けて2つ。ひとつは空気という目に見えない粘性流体の可視化。そしてもうひとつは、揚力や抗力、そして表面圧力の測定という数値化である。可視化実験では細いスモークを流すことでヘルメット周囲を流れる空気の流れを観測し、ヘルメット表面に無数に貼り付けられた“タフト”と呼ばれる小さな糸の動きで、表面近くの微細な流れを把握。数値化を目的とした実験では、「6分力天秤」という精密測定器にヘルメットを固定し、空気が流れる中でヘルメットが受ける抗力(≒抵抗)や揚力(浮き上がろうとする力)横力(左右方向への力)の測定や、表面に無数の穴が開いた、表面圧力測定用のヘルメットを用いた表面圧力分布の測定が行われる。
 これらを複数の速度域において、さらには考えられうる姿勢、つまり空気の流れに対する、仰角や方向すべての条件で行うために、そのデータは膨大なものとなった。

風洞実験

 東京大学名誉教授の東昭(あずまあきら)先生、日本大学教授の川幡長勝先生の指導のもと、風洞実験の総指揮を担当した日本大学の安田邦男先生(理工学部 航空宇宙工学科 助教授)によりもたらされた適切な考察と提案により、FF5は空力という自然の摂理に抗うことのない進化を着実に遂げていった。
 最終仕上げともいえる風洞テストにはOGK契約ライダーの辻村猛選手が参加し、風洞内で実際にバイクに跨がる。
 風洞のスイッチが入れられると、辻村選手の美しいフォームとともにバイクと一体化したFF-5の間際を、美しい曲線を描く一筋のスモークが流れる。次の瞬間、どこからともなく沸きあがる拍手……。構想から3年以上。空気力学の粋を集めたヘルメット、OGKカブトFF-5誕生の瞬間だった。

日本大学教授 川幡長勝 先生

日本大学教授
川幡長勝 先生

日本大学理工学部精密機械工学科教授。飛行力学・制御などの分野に精通するスペシャリスト。FF-5の後頭部に設けられた新デバイス、ウェイクスタビライザーの生みの親。

日本大学助教授 安田邦男 先生

日本大学助教授
安田邦男 先生

日本大学理工学部航空宇宙工学科助教授。回転翼の専門家で植物の種子のオートローテーションによる飛翔や、生物の飛翔の研究が有名。FF-5開発では風洞実験を統括。

OGK開発(造型)顧問 山脇悠一郎 先生

OGK開発(造型)顧問
山脇悠一郎 先生

大阪芸術大学の客員教授も務める工業デザイナーで造型分野の専門家。OGKのトップエアロベンチレーション(シェル表面に発生する負圧を積極的に利用するという換気システム)を考案。

風洞が生んだ優れた空力

栃木県にある日本有数の風洞実験施設での開発風景。巨大な風洞の中で実際にライダーがマシンに跨がり、さまざまなデータからヘルメット形状による気流を分析。

OGK契約ライダー 辻村猛選手

風洞実験に立ちあったのは、全日本JSBクラスに参戦し2006年の8耐ウィナーでもあるOGK契約ライダーの辻村猛選手。2007年シーズンはFF-5でシーズンを戦う。

ウェイクスタビライザー

ヘルメット表面に貼り付けられた“タフト”と呼ばれる糸の動きで、空気の流れを把握。その実験結果を検証した結果、ライダーが正面を向いたとき、従来のヘルメットは横を向いたときの空気抵抗に大きな差が生じていた。そこで後頭部に敢えて抵抗となるパーツを装着し、どんなアングルでも空気抵抗を均一に近づけるよう考案されたのが、ウェイクスタビライザーである。

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